壁越しの愛してるよは

なんだか疲れてしまった気がする



糸電話越しの愛してるよが

伝わらなくなるのは聴こえなくなるのは

いつだろう



あなたは気付きはじめた

あたしはずっと知ってた

だってこれは

あたしを護るための



プリズムみたいに

反射してる



あたしを切り裂くよりは

あなたを呑み込むくらいなら

光には程遠いこころが

届くことも

漏れてしまうことも

ないように



素敵ね



でも幸せではないのかもしれない



だって無様だもの

側にいて、と

ひっそりした壁に縋りついて闇に願うあたしは

ひどく愚かだもの



唯一繋がる糸電話で

あたしは光を見ているけど

両手で大切に包み込む電話の糸は

弾くだけで切れてしまうんじゃないかと



また怯える



どうやって強くなればいいの

本当は分かってるくせに泣いてみる

このままでいいよと

優しく囁かれて

闇に甘やかされることに慣れたあたしは

この暗さに依存する



ただ

息が少し苦しいだけ



糸電話を握り締めて

またあたしは

愛してるよ、と呟いた